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第一章
名古屋 → バンコク → デリー 「真夜中のデリー到着 初めてのインド、苦難の連続」 |
| ■ コンノートプレイスとウンコ事件 午後からコンノートプレイスに行くことにした。 コンノートプレイスとは、インドではかなり珍しい先進的なショップ(日本で言ういわゆるふつーの店)やオフィスなどが集まる地区のこと。 特に目的もなかったが、予定もないし、ニューデリー駅から500mほどなので歩いて出かけることにした。 しかし、ここでインド1日目にして、衝撃的なトラブルに遭ってしまう羽目になるとは思いもよらなかった。 コンノートプレイスは真ん中の公園を中心として、建物群が円状に囲む独特の地形をしている。 確かにメインバザールよりは綺麗で先進的だが、インド一日目の俺には 「こんなもんか」 程度でしかなかった。 さらに、建物沿いにグルグル回って歩いているとすぐに方向感覚を失ってしまった。 まあ、リクシャー(原付を改造して後ろに座席を付けたようなインド独特のタクシー)で帰ればいいか、と思ってフラフラ歩いていたときに事件は起こった。 それは今や、インド旅行のガイドブックにも載っているほど、有名な手口だ。 いつの間にか靴に牛のウンコをのせられ、気づいたところでタイミング良く現れた靴磨きに靴を掃除させると、ハイ1000Rs、などと法外な料金を要求される。 多くの旅行者がこの詐欺?に引っかかるらしい。 もちろん俺はこのことは知っていた。 しかし、まさか自分が引っかかるとは夢にも思ってはいなかった! だいたい"気づかないうちにウンコをのせられる"ってゆうのがかなりうさん臭い。 いくらなんでも気づきそうなものだろう、そう軽く考えていた。 しかし、それは確かに起こってしまった。 1時間半くらいコンノートプレイスを散策し、そろそろホテルに戻ろうと思っていた。 と、そこに一人の若い男が話しかけてくる。 怪しげな客引きや、ハッパ、麻薬のお誘いなど、話しかけてくる者はいっぱいいる。 もちろん最初は無視した。 しかしその男はちょっとしつこい。 見ると、それほど怪しげでもない。 思わずちょっと会話をしてしまった。 「どこからきた?日本か?」 そんな程度の会話だった。 若い男は、メインバザールならあっちだ、と言って俺の歩いていた反対方向を指さした。 適当に歩いていた俺は、そうか、と思ってその方向に向きを変えて歩き出した。 しかし、…あれ?ふと足下を見る。 「な、なんじゃこりゃ?!」 我が目を疑った。 左足の上にどっかりとでかい牛のウンコがのっている。 "ついている"のではない。 まさに"のっている"である。 慌てて足を振ってウンコを振り落とそうとする。 しかし全く落ちない。 そしてそのとき気が付いた。 靴磨きに囲まれてる!? いったいどこから?! いくらなんでもタイミングが良すぎる。 しかもさっきまで全く居なかった。 それどころかまったく人の居ない通りを歩いていたはずである。 「こ、これはまさに!」 俺はすぐに気づいた。 靴磨きは 「拭いてやるから靴をぬげ」 と口々に言う。 やなこった! 誰が渡すか、とは思ってはいるが、あまりに気持ち悪い。 そもそも俺の履いていたのは靴ではない!サンダルだ!もう足の指の間までベトっとしたウンコが染みこんでいる。 ききききもちわる〜〜い!! もう一刻も早くサンダルを脱ぎ捨てたい気持ちだった、しかしかれらに渡したら…。 と、そのとき靴磨きが 「2ルピーでいいから!」 といった。 ポケットに1ルピーコインが2枚有るのを確認し、俺は反射的に左足を差し出していた。 靴磨きは満足そうに俺のサンダルを脱がせ、汚いタオルで俺の足とサンダルのウンコを拭った。 落ち着いて周りをみると、既に5,6人の靴磨きに囲まれていることに気づいた。 コイツら…一体どこから湧いて出てきたんだ?! しかも全く気づかないうちにウンコをのせるとはまさに神業だ。 などと考えているうちに、今度は靴磨きが、へんなチューブから磨き粉らしきものを出して俺のサンダルを、それはそれは丁寧に拭きだした。 まてまて! それは靴ではない! サンダルだ! しかも使い込んだかなりのボロだ! 磨き粉で磨いてどうする! マズイ! 完全に靴磨きのペースだ。 そう気づいた俺は慌てて靴磨きから俺のサンダルを奪い取ろうとした。 しかし靴磨きは絶対にサンダルを放さない。 2Rs差し出すと 「2ドルだ!」 とのたまった。 予想通りだ。 無理矢理取り上げようとすると怒ったふりをしてテコでも放さない。 周りの靴磨き達も払え払えと怒り出す。 もちろんこれも奴らの手口だ。 しかし同時にだんだん腹が立ってきた。 俺は怒りにまかせて力任せにサンダルを奪い取り、2Rsを靴磨きに投げつけて歩き出した。 靴磨き達は、大声で抗議していたが、さすがに俺が怒ったのを見てそれ以上追ってはこなかった。 怒りとどうにもならない空しさで無性に気分が悪かった。 でも、今日の体験はちょっと"オイシかった"のかも? 話のネタができたな。 一人でニタニタしながらベッドに寝転がる。 追記: ホントに気づかなかった! 恐らく最初に話しかけてきた男がポイントだったのだろう。 しかし彼らはこの方法で何百(いや、何千何万か)の旅行者を騙してきているのだ。 いわばプロフェッショナルである。 完全に極めている、神業といっていいだろう。 インドには、特にデリーにはこのような珍商売が数多く存在する。 例えば耳掃除屋に耳掃除を頼むと、予め用意した偽の耳クソを大量に見せて"大漁手当"を要求したりとか、片耳料金だといって2倍の料金要求したりとか、耳掻きが特別製だからといって100ドルだ、とか言ったりとか、とにかく何でもアリだ。 ワケわからん商売はいくらでもある。 実際に見たい、試したい、と言う人は是非インドへ行くことをお勧めする。 まあ試すのは余りお勧めできませんが… |