第十二章

 デリー( → ジャイプル、 → アーグラ)

 「帰ってきた混沌の街、
    ハード過ぎる暴走バス1000キロとタージマハル」

□ 帰ってきた!

 深夜のメインバザールほど怖いものはない。

 人通りはほとんど無いものの、暗闇のあちこちから視線を感じる。
 新たなホテルも探している余裕など当然なく、俺は一ヶ月前に世話になったホテル、ゴールドリジェンシに飛び込んだ。

 予約もなにもナシで真夜中に飛び込んだのだが、レセプションの人々は ”オッ、きたな” という感じで迎えてくれた。
 マリオにも再会した。

 「俺のこと覚えてる?」
 マリオはニッと笑って 「もちろん」 と答えた。

 俺専用なのかと思うくらい前と全く同じ部屋に案内された。
 長距離移動の疲れで、俺はシャワーも浴びずにベッドに倒れ込んだ。

 久々のデリーだ!

 相変わらずこの部屋は時間の感覚がさっぱり解らない。
 電力は安定せず、エアコンはついたり消えたり。 その度にレセプションに降りてマリオに愚痴をこぼす。 マリオはまあまあ、今度は大丈夫だからと、隠れてどこかのボタンを押す。 そうするとなぜかエアコン復活。 しかしそのうちまた切れる。
 暑くて耐えられずにまた文句をつけに降りていく…相変わらずの繰り返しだ。

 どしゃ降りの雨の中どこへも行く気がせず、ホテルでインターネットをして暇をつぶす。

 夜はレストランMalhotlaへ。
 相変わらずここのメシはインド一ウマい。 ここのメシを食うためにデリーに帰ってきたようなものだ。

 メインバザールを歩いて気がついたことは、前回に比べ、外国人旅行者の姿が格段に増えている。 時期的にもちょうどサマーホリデーの真ん中にはいったためだろう。

 大勢の外国人旅行者の中、インドをサンダルと短パン、Tシャツで回り、ほとんど地元民と同化した汚い格好の俺には、全く声はかからない。
 前回は物売りやリクシャの勧誘があんなにうるさかったのに…。
 楽なのは良いのだが、デリーにいて全く声がかからないのも逆に寂しいものだ。

 夕方、ビネイと再会。

 一ヶ月に及ぶ旅の土産話を大いにする。
 ビネイは興味津々といった感じで真剣に聞いていた。
 インドに住んではいても、経済事情のため、国内旅行にさえほとんど行ったことは無いのだそうだ。

 最後に、照れながらジュリアの話をすると、なかなかやるじゃないかと冷やかされる。

 明日からはまたハードスケジュールだ。
 今日は早めに休むつもりだったが、話しに夢中になってしまった。

 この日の日記、最後の一行
 ”AB(アウランガバード)を離れたためかジュリアの事も忘れ、ずいぶん楽になった。 …かな?”

 

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