幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 7月18日 ● 「価値観の多様化」は良いことか。

 先日、僕の下についている新人Kと話をしていた時のこと。新人Kが「価値観の多様化ってよく言いますけど、本当にそれって良いことなんでしょうかね?」などと生意気なことを言います。僕は「君の社会学的・哲学的考察はおいといて、我々広告業界の人間としては、常に世の中の変化はビジネスチャンスである、というセールストークを身に付けるべきである。だから多様化は良いことなのだ、というスタンスでクライアントに臨まなければならない」と言いました。

 ただ広告屋のあり方はともかく、確かに新人Kが言う通り「価値観の多様化」は「平等」とか「自由」とか同じレベルでの断固とした「良いこと」ではありません。いろいろな価値観を認めるということは、絶対的な価値を認めなくなる、ということに繋がります。それはある局面ではとても重要なチェック機能として意味をもつと思いますが、反面「なんでもあり」の風潮を助長することも間違いないからです。「自分勝手」「わがまま」を「価値観の違い」と誤魔化している人間のなんと多いことか。

 特に教育において「絶対的な価値」が崩壊してしまったら、何を頼って教えていけば良いのか困ってしまうことでしょう。終戦直後に教師がそれまでと180度反対の「民主主義教育」を始めたため、多くの児童生徒が「教師不信」に陥ったそうですが、今の「価値観の多様化」を認めることは、そういう危険性も含んでいるということだと思います。

 もちろん僕は多様な価値観を認めることができる社会が良いと思っています。無理に思想をひとつにまとめるような国家は間違いなく独裁政権です。ただ「何が悪いのか」まで教えることができなくなってきた最近の日本は、ちょっとおかしいかな、という気がします。

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