『行列のできる法律相談所』という人気番組があります。世の中のいろいろなトラブルを法律的に解釈するとどうなるか、ということをテーマにしたバラエティ番組です。トラブル事例のビデオの最後はほとんど「訴えてやる！」という台詞で締めくくられて、さて、この場合はどうなるのか、と弁護士たちが意見を述べるというカタチになっています。

　取り上げられる事例は、身近にありそうで、でもそこまで極端な、というわかりやすいトラブルです。そりゃ話ができすぎだろう、ということも見ていてよくあるのですが、実は先日弟の結婚式で自分も同じような「できすぎ」トラブルに遭遇してしまいました。

　大阪・梅田のホテルで行われる結婚式のために、一家4人でクルマに乗って朝名古屋を出発。快調に名神高速道路を走っていたのですが、栗東インターを過ぎたところでＡＴが故障してしまったのです。100km/hを超える速度で追い越し車線を走っていたのに、いきなりニュートラルに入ったような状態になり、エンジンが回ってもクルマの速度は落ちていくばかり。慌てて車線変更をし路肩に止めました。もしここで路肩に止めることができず、走行車線内で止まってしまったら大惨事になるところでしたから、後で考えればゾッとします。

　さて、路肩に止めていろいろ手を尽くしてもクルマは動きません。携帯電話からディーラーにかけ、ＪＡＦにかけ、弟や母の携帯にかけ、ホテルにかけ、タクシー会社にかけと、あちらこちらに電話しまくりました。ＪＡＦは積載車が出払っていて、到着するまで1時間くらいかかるとのこと。止まった時点で弟の結婚式まであと2時間余り。ピンチです。

　路肩で待つこと1時間。車内で結婚式のために用意した服に着替えます。11時半にようやくＪＡＦが到着。積載されて瀬田東インターへ。インター出口にタクシーを呼んでおいたので、大荷物をタクシーに移します。クルマはＪＡＦがそのまま滋賀のディーラーまで運んでくれる手はずとなっているので、我々はＪＲ石山駅へ。タクシーで梅田まで行くよりもＪＲの方が時間が読めるからそうしてくれ、というホテルの指示でした。

　石山駅に着いたのが11時50分。すぐに12時3分の新快速に乗って大阪駅着12時44分。タキシード姿で混雑するＪＲ車内で立っているのも妙なものでした。タクシーに乗ってホテルに着いたのが13時。すでに弟の結婚式は終わっていて、写真を撮影していたところでした。何とか親族の集合写真、そして披露宴には間に合いました。しかし、ただ一人の弟の結婚式に出席できなかったのは痛恨です。今までそんな故障したことがなかったのに、よりにもよって弟の結婚式に向かう高速道路上とは、これ以上ないバッドタイミングでした。まさに「訴えてやる！」という気分です。

　クルマは名古屋のディーラーが滋賀まで取りに行き、クルマに積んであった荷物も戻ってきました。現在ディーラーが故障の原因を調査中です。営業担当者が菓子折を持って謝りにきました。修理にかかる費用はもちろんディーラーが負担するということで、金銭的には大した被害ではありません。ちょっと余分にタクシー代やらＪＲ代がかかりましたけど。

　現在故障原因はまだ判明していないので、この話はまだ進行中であり、あまり現時点でディーラーにとやかく文句を言うつもりもありませんが、命に関わる故障だけにきちんとした対応はしてもらいたいと思っています。ひとつ間違っていれば「弟の結婚式に向かう途中で悲劇！実兄家族4人死亡」なんて記事になっていかも知れないのですから。