幹事クリタのコーカイ日誌2008

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7月25日 ● 会議が煮詰まり憮然とした?

 会議で議論をしていると、少しずつ煮詰まってくるものです。煮詰まってしまった結果、憮然としてしまった人がいたら、どう思いますか?「そりゃ仕方ないな」と思うあなたは、きっとまだ若い方なんでしょう。と言う、言葉の誤用が多いと文化庁が調査結果を発表しました。

 「煮詰まる」というのは40%近くが「議論が行き詰まり結論が出せない状態になること」だと思っているそうで、本来の意味とは逆にとらえている人が結構いるわけです。恐らく「行き詰まる」と語感が似通っていることからの誤用だと思いますが、「煮詰まってきたね」と会議の席上で上司に言われて、気を利かしたつもりで「いったんここでやめて後日にしましょうか」などと提案したら怒られちゃいます。50代以上は「結論の出る状態」だと認識している人が7割以上なのに、10代では16%しかそう思っていないのですから、本当に今後は上記のようなすれ違いが現場で起きそうです。いや、もう起きているのかな?

 「憮然」の誤用はかなり前から広く浸透しているように感じます。アナウンサーすら間違えているぞ、と思うことがあり、「上原が打たれて憮然とした表情の原監督」と言う表現に対して、原監督が怒っているのか、それともガックリと落ち込んでいるのか、どうも画面を見て確かめないと今ひとつ信用できません。

 「さわり」も誤用が多い例として上がっていますが、これもかなり昔から間違って使っている人が多いと思っていました。「じゃあさわりだけ」と言われて、本当のさわりではなく「まくら」に当たる部分を話されることのなんと多いことか。「さわり」というのは話の要点です。だから「時間がないからさわりだけでも教えてください」と言うのですから。

 僕はコピーライターですから、こうした言葉の誤用には昔から普通の人よりは敏感ですが、逆に敏感なだけに本来の正しい使い方だけではないんじゃないかとも思っています。古来より日本語は誤用が転用されていくことが多い言語です。「全然大丈夫」なんて言い方は、僕が子どもの頃は誰もしていませんでしたが、今ではかなり一般的になってきました。さすがに仕事では使いませんが、日常会話では僕も使います。「煮詰まる」とか「さわり」も、今後は誤用の方を使う人が多くなれば、それはもう誤用ではないことになるでしょう。

 なんて偉そうに言っていますが、実は僕も時々仕事で間違えてしまうこともあります。そんな時の言い訳が「言葉は生き物ですから、最近はこういう言い方の方が一般には伝わるんです」なんて。本音は誤用バンザイなんです。