幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 6月21日 ● 現代ドラマ『元禄繚乱』。

 NHKの大河ドラマ『元禄繚乱』が半年を過ぎ、昨晩の放送は前半の総集編のような内容でした。必ず毎回見ているわけではない僕としては、見逃した回の映像が見られて良かったものの、あくまでも大石内蔵助の回想シーンのため、ショーケンと保奈美ちゃんが大活躍した綱吉を巡る部分が一切登場しなかったのが残念でした。なにせある意味、この『元禄繚乱』の前半を支えたのはショーケンの切れまくった演技でしたからねぇ。

 ともあれ、今年の大河ドラマは面白いです。視聴率的にもそこそこ取れているようですが、それもいつもの大河なら中高年世代を狙った作りになっているのに対し、今年は僕たち30代にも(もしかしたら20代でも)面白く見ることができるような工夫が凝らされているからでしょう。

 『元禄繚乱』は言うまでもなく忠臣蔵です。30代以上なら誰でも知っている日本の古典的ドラマですから、題材だけでお年寄りには受けが良いことは一目瞭然。ただ逆に「今さら古臭い」と思われて拒絶される可能性もあるわけですから、そのためにまずキャスティングで目を引くようにしています。

 主役の中村勘九郎の軽さは従来の内蔵助イメージを覆すものですが、その軽みが新しさを感じさせます。もちろん敵役の吉良が石坂浩二というのも今までなら若すぎるイメージですが、30代から見ればいかにもインテリオヤジ臭いところがはまり役です。

 さらに30代女性受けするようなジャニーズ事務所との連携プレー。少年隊の東山紀之、光GENJIの赤坂晃、ジャニーズJr.の滝沢秀明と新旧のアイドル(しかも年上受けするタイプばかり)を揃えたところにも、若い主婦やOLの幅広い支持を狙っているのが見え見えです。

 そして、萩原健一、村上正明、宅麻伸、鈴木保奈美、吉田栄作、宮沢りえ、大竹しのぶ、南果歩、高岡早紀、阿部寛、柄本明と、民放の連続ドラマや2時間ドラマで活躍している人ばかりの豪華俳優陣。30代のドラマ好きがよく見ている彼らが登場することで、時代劇色を極力薄めています。

 そう、『元禄繚乱』は時代劇の衣を被った現代劇、それも会社を舞台にしたビジネスドラマなのです。例えてみれば、赤穂藩は関西の地方銀行で幕府は政府か大蔵省。世襲のボンボン社長の不始末で倒産に追い込まれた社員たちの右往左往劇だと思えばわかりやすいのかも知れません。内蔵助は専務取締役として、辛い決断と難しい舵取りをしていかなければなりません。また社員たち、家族たちも、それぞれにいかにこの危難を乗り越えていくか苦しんでいます。

 現代ドラマによく登場する俳優たちが演じる、いかにも現代的な苦悩。キャストも脚本も演出も、時代劇ではなく現代劇に翻訳して作り込まれている感じです。明治の旧仮名遣いの文章を新仮名遣いに直したような口当たりの良さ。視聴者層を若返らせようとするプロデューサーの強い意志を感じます。

 この手法で12月の討ち入りまでどう描くのか、舞台が江戸に移る後半がますます楽しみになってきました。

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