幹事クリタのコーカイ日誌2007

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8月12日 ● 団塊世代向けの『思い出のメロディー』。

 NHKでは「夏の紅白」とも言われる『思い出のメロディー』。今年で39回目だそうですが、子どもの頃に親と一緒に見ていた時は当然のことながら「古い歌ばっかりでつまんない」と思っていまいた。当時は東海林太郎とか藤山一郎とか近江俊郎とか淡谷のり子とか渡辺はま子とか出ていましたからね、って、こんな歌手の名前をズラズラ出しても、そもそもわかる人がもう少ないかな。

 しかしこれまた当然のことながら自分が年を取ってくると、取り上げられる歌も徐々に新しくなり、いつの間にか「この番組はオレがターゲットか?」と思えるようになってきました。それを痛感したのが2004年の第35回。曲目はこちらを参考にしていただければと思いますが、昭和50年代の歌がずらりと並んでいます。僕の中学〜大学時代のヒット曲が大半で、中にはすでに社会人になっていた昭和60年代の歌まで。思わず懐かしさに食い付くように見ていました。もっともこの時は永六輔が「浩宮呼び捨て」事件を起こし、ここでもそちらを話題にしてしまいましたが。

 さらに翌2005年になると突如「田原俊彦」特集があって、他にも南野陽子やC−C−Bなど、平成のヒット曲まで歌われました。もっともその年は全体としては古めの曲が多かったので、そこだけ「レッツゴーヤング」ノリで浮いていましたが、僕はこれから一気に『思い出のメロディー』が若返るかと期待していました。

 しかし今年。昨晩の『思い出のメロディー』は思いっきり時間が戻り、昭和30年代〜40年代のヒット曲が中心になってしまいました。テーマは「2007年問題」?つまり定年を迎える団塊の世代をターゲットに据えたような構成なのです。植木等特集に加山雄三メドレー、グラシェラ・スサーナなんて、50代は嬉しくて涙が出たかも。

 そこに突然先日亡くなった阿久悠の歌を組み入れたので、ちょっと若くはなったものの、やはり全体に古い感じは否めません。しかも不満なのは、団塊世代をターゲットにするのなら、もっとフォークソングを取り入れて欲しいのに、マイク真木や千賀かほる、本田路津子など「キレイ」系とでも言うべきカレッジフォークだけでまとめたのが残念。やはり岡林信康や高石ともやなどアングラフォークが欲しかったところです。

 挙げ句に団塊の世代のバイブルである『あしたのジョー』まで取りあげたものの、尾藤イサオのアニメ主題歌はすでに昭和46年で、団塊世代はもう大人であまりアニメを見ていなかったと思います。あのアニメを見ていたのは昭和30年代生まれですからね。団塊はあくまでも少年マガジンの中の矢吹丈でしょう。

 そんなこんなで、ちょっと今年は個人的には残念というか、ズレを感じた『思い出のメロディー』だったのですが、唯一久しぶりに森田健作『さらば涙と言おう』とあべ静江の『みずいろの手紙』を聞けたのは良かったです。先日の個人的阿久悠ベスト5にも入れた思い入れのある2曲だけに、ここだけはNHKスタッフに感謝でした。